CPUクーラー研究室

CPUクーラーの評価における、誤差の計測

1. はじめに

 2007年8月15日,終戦記念日に関東地方では40℃近い地獄を記録、私も30℃を余裕で超える部屋の中で1人孤独にCPUクーラーと戯れていました. 今回は,一般ユーザーを勝手に代表し,ぷりぷりの取り付け方法による,本計測系の誤差というものを調べました. これを調べることで過去に掲載したCPUクーラーたちの優劣が,誤差の範囲内にあるのか,そうでないのかが判断できるようになると考えられます. 正直に申し上げますと,とても不安な計測といえます.なぜなら過去の計測が全て消え去る可能性もあるからです.

 内容に関しまして,製品そのものの評価を行なうものではありません.

2. 計測概要

 過去の計測法を見返すと,CPUの温度に関してはDTSを用いております.また,環境温度に関してはサーミスタもしくは熱電対(T)を用いております. しかし,各結論において重視することは相対関係(順序)のみであり,異なる測定結果と絶対温度を照らしあわすことはしておりません. これには理由があります.
 まず,DTSに用いられる温度計と,サーミスタや熱電対による実測の精度に不安があるためです. これは使用するサーミスタ温度計やデータロガーのキャリブレーションを行なっていないためです. また,DTSの絶対基準となるTjMax値も不明な点が多く,固有の値を持つ可能性が高いことから,絶対温度を調べるためのツールとして使うには早計であると考えられます. 以上の理由により,絶対的な温度によるCPUクーラーの評価は行なっておりません(行なえません).
 これらのバイアスを無視できるよう,過去の計測においては1回の計測内におけるCPUクーラーの優劣のみを重視してきました. しかし,優劣を決定する際に必要な温度差,すなわち本測定系における偶然誤差を計測しておりませんでした. この偶然誤差は,グリスの塗り方や,CPUクーラーの固定,ファンの固定箇所などに起因すると考えられます. そこで今回は同一製品2個体を用いて,グリス塗り,固定を含む,計6回の負荷計測を行い,本計測系における誤差を計測しました.

3. 計測に用いたCPUクーラー

 本計測で用いた製品は,Wikiでも圧倒的なアクセス数を誇るscythe社製の「ANDY Cooler」です. 実はある企業様の依頼を受け,とある製品の効力を調べるため,ご好意としてANDY Coolerを1つ購入していただいております. 直接的には関わりませんが,同一製品における誤差というものも調べてみようと,ANDY Coolerを2つ使用しています.

パッケージ
図1. パッケージ

ANDYさんが二人.共にツクモさんの購入ということになります.

仕様変更
図2. 仕様変更

実はscytheさんの方で既に公表されておりますが,ANDY Coolerが7月末に仕様変更しています. と言いましても,ファンが変わっただけのようですが….

ファン
図3. ファン

(右:新型)風量と騒音値が共に上がっております.ですが,過去の計測から考えると,ぷりぷり的にはマッチしたファンになったのではないかと思っております.

筐体
図4. 筐体

筐体,おパイプ,ベース部等,何の変更点も見当たりませんが….目印として新しい方にセロテープを貼っておきました.(以下,古い方をA,新しい方をBとします)

4. 試験方法および使用ウェア

4-1. 試験方法

 計6回程度の計測ということは,せいぜい3時間も掛からない計測になると考えられたため,最も温度変化の緩い午後~夜間に計測を行ないました. グリスを塗る,クーラーを固定する,ファンを固定する,各ケーブル類を接続する,PCを起動する,各種ソフトウェアを起動する,ロガーを起動,負荷を掛ける,10分後にスクリーンショットを撮る,ロガーを停止,PCを停止の作業を繰り返します. 順番としては,新しいANDY,古いANDY,新しいANDY,古いANDY,新しいANDY,古いANDYといった形になります. 全ての試験が終わり次第,ログファイルをグラフ化し,ファンの吸気温度との差を温度上昇差(DW or ΔT or TRise)として定め,レビューに移行します.

4-2.使用ハードウェア,環境

 以下の表1に今回計測に使用したPCのスペックを示します.また,使用したハードウェアおよび環境を表3に示します.

表1.計測に用いたPCのスペック表
PC名 ”ぷりぷり 2007”
CPU Intel Core2 Duo E6600
CPUクロック 3.0GHz (333×9)に設定
CPU電圧 1.450Vに設定
EIST オフ
CPUクーラーファン COOLINK X12-1200 (12V/DR100%にて1200回転 12cm/25mm厚)
グリス Thermalright社製のCPUクーラーに付属する普通のグリス - センターウンコ方式
マザーボード GIGABYTE GA-P35-DS3 Rev.1.0
チップセットクーラー デフォルト
グラフィックスカード 玄人志向 RX1650PRO-E256HW
HDD Western Digital WD360GD
ファンコントローラ ZALMANさんの12V/5V分配キット
表2. 計測に用いたハードウェア,環境表
測定人 ぷりぷり (23)
測定日時 2007年8月15日 (水曜日) 18:30~21:30
試験場所 東京都新宿区 ボロアパート内 11階
測定日天候 晴天
室温 34.0℃~36.0℃
デジタルスチルカメラ NIKON COOLPIX L1 三脚なし
環境センサー ユニパルスさんのデータロガー with K型熱電対(坂口電熱; 約1mにカットして半田付けして使用)

4-3.使用ソフトウェア

 以下の表3に今回計測に使用したソフトウェア各種を示します.

表3. 計測に用いたソフトウェア表
CPU負荷ソフト Tripcode Explorer v1.2.3 スレッド数2 標準割り当て
CPU温度計測&ロガー ぷりぷりてんぷ 1.0.2.0
CPU温度 グラフ化 ぷりぷりてんぷグラフジェネレータ(PHP)
CPU状態表示ソフト CPU-Z 1.40
マザーボード名表示ソフト CPU-Z 1.40
負荷率表示ソフト Windows標準のタスクマネージャ
画面キャプチャソフト WinShot 1.53 デスクトップPNG出力
画像リサイザー IrfanView 3.98

4-4. 試験方法に関する備考および補足

 試験に用いたCPUはCore2 Duoですが,これはあまり消費電力が高くないため(=発熱が少ない),細かい温度差を調べるために敢えてクロックと電圧を高めに設定しました. 各種クロックや電圧の設定は図5に示すBIOS画面を参考下さい.

 CPUを発熱させるための負荷ソフトは,フォーラムで統一された感のあるTripcode Explorer(TX)を用います. Core2 Duoなどには最適なものとされており,実際に負荷も相当なもので,温度差をはっきりさせるには最適なものと判断しました.
 一方でCPUの温度の測定に関しては,IntelやAMDの推奨するDigital Thermal Sensor(or DTS)を読み込んでログ化する「ぷりぷりてんぷ」を使用します. Intel環境の場合であれば,DTSの示す値はMSRから高精度・高頻度に取得することができ,Core Tempなどのソフトウェアでかんたんにログとして残す事ができます.

 測定環境は,いわゆる”まないた”状態にて行ないました.マザーボードの箱の上にマザーボードを置き,その上で負荷を掛けて,温度履歴を見ていくという流れになります.

 ファンの吸気温度に関してはユニパルスさんのデータロガー+K型熱電対で1秒置きにログに残していきます.

BIOS画面
図5. BIOS画面

思い切って電圧は1.450Vに,CPUクロックは3.00GHzにしました.これで通常より大分発熱するはずです.

計測環境
図6. 計測環境

上から伸びている青いケーブルがK型です.青っていう色は規格で決まっていたりします. ちなみにとても御堅いケーブルさんですので,同じ位置に固定できるので便利です.


コンテンツ
  1. はじめに,計測概要,測定条件など
  2. 計測の様子
  3. 結果,考察など

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