2007年3月21日,別れの季節に花粉症の時期が重なり,涙が尽きない方も見られる季節です. 最近新しいCPUクーラーの情報が鬼のように出てくる中,ぷりぷり個人も感激で涙しております(?). 今回は,NAGINATAで大ヒット中のDHTSという技術を利用したCPUクーラーである「ZikaRay」. 彼を中心に温度計測を行い,紹介や結果を通して,ZikaRayの実力というものを吟味していこうと思います.
内容に関しまして,その温度計測などは一般的な環境とは著しく異なり,単純にヒートシンクそのものの性能について焦点を当てています. そのため,一般的な使用環境とではかけ離れた結果になるかもしれませんので,ご承知いただきたく思います.
ZikaRayのファーストインプレッションを,以下の写真たちを交えてお伝えしたいと思います.
DHTSは,検索していただければすぐに分かるとは思いますが,CPUのコアあるいはヒートスプレッダに直接ヒートパイプ部を接続するという技術です.
その部分においては,他のCPUクーラーよりは優位な立場に立っているのでしょう.しかし,どのくらい効果があるのか?という疑問を解くには,
ベース部以外まったく同じクーラーを開発し,それらを第三者的な立場の方に検証してもらうしかないのでしょう.
今回,筆者はある程度同じくらいのサイズのクーラーで,比較的有名である「Ultra-90」をその対象として,比較を行なおうと考えました.
付属品は最低限はありますので,この製品一つで,リテールクーラーから即乗りかえすることが可能です.(なぜか付属レンチはマニュアルに記載されているレンチと大きく容姿が異なります) 付属ファンは9cm/2000rpm/25mmですので,12V駆動(DR100%)では少々うるさく感じると思います. もしZikaRayに静音性を求めたい場合は,お使いのシステムが,駆動電圧を下げることが可能なのか,もしくはファンをON/OFFモード(入力電圧PWM)で駆動できるかを確認した方が宜しいでしょう. 今まで4pinのIntel式PWMファンを利用していた場合,そのまま切り替えて,ファンのコントロールができるとは限りません.
このファンクリップが難点であると,筆者は感じました.もともとはファンは最初から装着されていますが,ファンを交換したいと考える方は,要注意です. とにかくマージンがなく,ファンのクリップを外す場合は,切れ込み部分とファンの通気孔の距離を最短にしてから,ペンチなどで思いっきり引っ張ることで解決しました. 何もここまで厳しくファンの固定をする必要があるのか?と思いました.
寸法について,一番大切な部分を計り忘れています.ベース部下部からヒートパイプの頭までの長さです.先日,アップローダへ掲載時に計測したときには,135mm程度でした. 従いまして,皆さんのケースにおいて,CPUのコアもしくはスプレッダの上に最低でも135mm以上クリアランスが必要です. 実は135mmという高さは9cmファン搭載型のサイドフローとしては高い部類に入るのではないかと思います. このサイズのクーラーを買う理由として,小型であり,ある程度の性能を期待している方が多いと思いますし, 仮に高性能であったとしても,この背の高さというものは,完全満足への妨害になることは明白です.
ファンの取り付け用の切りかけが2種類用意されていますが,内側の部分はどのように利用するのか分かりません.
ここでは対抗するCPUクーラーを含めて,今回計測するCPUクーラー達の紹介を致します.
以下に今回計測したCPUクーラー達の性能を表1として表します.
ファンなどの型番および性能は時期によって変動する可能性があるということを,ご承知ください.
| CPUクーラー | Ultra-120 | Ultra-90 | ZikaRay |
|---|---|---|---|
| エイリアス | - | - | 直冷 |
| 製造元 | Thermalright | Thermalright | ZAWARD |
| エアフロー | サイドフロー | ← | ← |
| ファン | オプション | オプション | X07138812L |
| ファンワイヤー数 | - | - | 3 |
| ファン5V駆動 | - | - | 自力 |
| 対応ファンサイズ | 12cm | 9cm | ← |
| 対応ファン厚さ(まで) | 38mm | ← | 25mm |
| ファン取付箇所数 | 2 | 2 | 1 |
| ファン数 | 1 | ← | ← |
| ファン場所 | 横 | ← | ← |
| ファンカバー | なし | ← | ← |
| フィン素材 | アルミ(?) | ← | ← |
| フィンピッチ | 1.65mm | 1.95mm | 1.85mm |
| ヒートパイプ(HP)数 | 4本 | 3本 | 3本 |
| ヒートパイプ太さ | φ6 | ← | ← |
| ベース部接続 | TIM | TIM | なし(DHTS) |
| ベース部 フィン | なし | ← | ← |
| Socket478 | オプション | ← | - |
| LGA775 | Bolt-Thru-Kit | アンカー(Ultra-90 775) | ← |
| K8*1 | ネジ留め | 付属クリップ/リテンション | ← |
| AM2 | オプション | ← | 付属クリップ/リテンション |
| バックプレート | X字非粘着 | ← | ← |
| 本体ロゴ | Thermalright | - | - |
*1 Socket754/939/940の3種類のソケットを示します.
温度の測定を行なう上では環境温度に影響を受ける可能性が高いため,同じ日付のうちに一気に計測しました. CPUクーラーを装着,PCを起動,各種計測ソフトウェアおよび負荷ソフトを起動,負荷開始(10分間),スクショ,ファンの回転数変更,スクショ,写真撮影, 次のCPUクーラーの準備,負荷停止,ログ回収,ファンの交換,,,PC停止,CPUクーラーを交換…という手順を繰り返していきます. 全ての試験が終わり次第,ログファイルをグラフ化し,ファンの吸気温度との差を温度上昇差(DW or ΔT or TRise)として定め,レビューに移行します.
以下の表2に今回計測に使用したPCのスペックを示します.また,使用したハードウェアおよび環境を表3に示します.
| PC名 | ”ぷりぷり 2007” |
|---|---|
| CPU | Intel Core2 Duo E6600 |
| CPUクロック | 3.0GHz (333×9)に設定 |
| CPU電圧 | 1.450Vに設定 |
| EIST | オフ |
| CPUクーラーファン | XINRUILIAN RDH1225B(12cm) / GLOBE FAN X07138812L(9cm) |
| グリス | Thermalright社製のCPUクーラーに付属する普通のグリス - センターウンコ方式 |
| マザーボード | GIGABYTE GA-965P-DS3 Rev.1.0 |
| チップセットクーラー | Thermalright HR-05 SLI |
| グラフィックスカード |
Galaxy GeForce 7600GS-Z 2nd 【途中で死亡】 玄人志向 RX1650PRO-E256HW |
| HDD | Western Digital WD360GD |
| ファンコントローラ | ZALMANさんの12V/5V分配キット |
| 環境センサー | ユニパルスさんのデータロガー |
| 測定人 | ぷりぷり (23) |
|---|---|
| 測定日時 | 2007年3月21日 (水曜日) 14:00~22:00 |
| 試験場所 | 東京都新宿区 ボロマンション内 |
| 測定日天候 | 晴天 |
| 室温 | 18.0℃~20.0℃ |
| デジタルスチルカメラ | NIKON COOLPIX L1 三脚なし |
以下の表4に今回計測に使用したソフトウェア各種を示します.
| CPU負荷ソフト | Tripcode Explorer v1.2.3 スレッド数2 標準割り当て |
|---|---|
| CPU温度計測&ロガー | ぷりぷりてんぷ 1.0.1.1 |
| CPU温度計測ソフト(DTS) | Core Temp Beta 0.95 |
| CPU温度計測ソフト(IT8718F) | SpeedFan 4.32 |
| CPU温度 グラフ化 | ぷりぷりてんぷグラフジェネレータ(PHP) |
| CPU状態表示ソフト | CPU-Z 1.38 |
| マザーボード名表示ソフト | CPU-Z 1.38 |
| 負荷率表示ソフト | Windows標準のタスクマネージャ |
| 画面キャプチャソフト | WinShot 1.53 デスクトップPNG出力 |
| 画像リサイザー | IrfanView 3.98 |
| タイマー | WinShot 1.53 定期実行キャプチャ機能 |
試験に用いたCPUはCore2 Duoですが,これはあまり消費電力が高くないため(=発熱が少ない),細かい温度差を調べるために敢えてクロックと電圧を高めに設定しました.
各種クロックや電圧の設定は図12に示すBIOS画面を参考下さい.
CPUを発熱させるための負荷ソフトは,フォーラムで統一された感のあるTripcode Explorer(TX)を用います.
Core2 Duoなどには最適なものとされており,実際に負荷も相当なもので,温度差をはっきりさせるには最適なものと判断しました.
一方でCPUの温度の測定に関しては,IntelやAMDの推奨するDigital Thermal Sensor(or DTS)を読み込んでログ化する「ぷりぷりてんぷ」を使用します.
Intel環境の場合であれば,DTSの示す値はMSRから高精度・高頻度に取得することができ,Core Tempなどのソフトウェアでかんたんにログとして残す事ができます.
また,従来のTcase部分よりも奥にあるTjunction部分の温度を示すものであり,示される温度も高く,差として表すには好都合であるといえます.
これらの温度は絶対的な温度としてではなく,相対的な差(順序と差の大小)のみを判断基準とします(DTSの仕様).
測定環境は,いわゆる”まないた”状態にて行ないました.マザーボードの箱の上にマザーボードを置き,その上で負荷を掛けて,温度履歴を見ていくという流れになります. 今回はファンの回転数も高く,CPU用のファン以外は特にエアフローは与えられません.(図13参照)
ファンの吸気温度に関してはユニパルスさんのデータロガー+T型熱電対で1秒置きにログに残していきます.
各種CPUクーラーにおいて,付属のファンが異なったり,付属していなかったりするため,全てのファンを統一しました. これは”CPUクーラーのヒートシンクの性能を比較する”という目的に沿ったものです. 今回はZikaRayが主役ですが,Ultra-120との純粋な比較を考えた上,苦し紛れですが,9/12cmの2つのファンをそれぞれ12V/5Vで駆動させて計測を行ないました. すなわち1つのCPUクーラーにつき,4つのデータが得られることになります.
| CPUクーラー | クリップの対象 | 概要 |
|---|---|---|
| Ultra-120 | LGA775 | Bolt-Thru-Kit |
| Ultra-90 | LGA775 | Bolt-Thru-Kit |
| ZikaRay | LGA775 | 付属のLGA775用 |