CPUクーラー研究室

ぷりぷり的!! CPUクーラー・リサーチ ~ ZikaRay ~

1. はじめに

 2007年3月21日,別れの季節に花粉症の時期が重なり,涙が尽きない方も見られる季節です. 最近新しいCPUクーラーの情報が鬼のように出てくる中,ぷりぷり個人も感激で涙しております(?). 今回は,NAGINATAで大ヒット中のDHTSという技術を利用したCPUクーラーである「ZikaRay」. 彼を中心に温度計測を行い,紹介や結果を通して,ZikaRayの実力というものを吟味していこうと思います.

 内容に関しまして,その温度計測などは一般的な環境とは著しく異なり,単純にヒートシンクそのものの性能について焦点を当てています. そのため,一般的な使用環境とではかけ離れた結果になるかもしれませんので,ご承知いただきたく思います.

2. ZikaRayの紹介

 ZikaRayのファーストインプレッションを,以下の写真たちを交えてお伝えしたいと思います.

パッケージ
図1. パッケージ

パッケージは非常にコンパクトで,場所をとらないので素敵です. しかし,残念なことに緩衝材の類でヒートシンクは保護されていませんでした.

パテント
図2. パテント

特許技術「DHTS」を前面に持ってきております.一発目の「NAGINATA」よりは分かりやすいネーミングですし,DHTS頼みである感が強いですね.

 DHTSは,検索していただければすぐに分かるとは思いますが,CPUのコアあるいはヒートスプレッダに直接ヒートパイプ部を接続するという技術です. その部分においては,他のCPUクーラーよりは優位な立場に立っているのでしょう.しかし,どのくらい効果があるのか?という疑問を解くには, ベース部以外まったく同じクーラーを開発し,それらを第三者的な立場の方に検証してもらうしかないのでしょう.
 今回,筆者はある程度同じくらいのサイズのクーラーで,比較的有名である「Ultra-90」をその対象として,比較を行なおうと考えました.

付属品
図3. 付属品

付属品はLGA775用のプレート(装備済み),AMD用のクリップ,LGA775用のバックプレート,ファン用のクリップ及びファン(装備済み),マニュアル,グリス,レンチです.

付属ファン
図4. 付属ファン

付属ファンはGlobe社製のX07138812Lモデルと思われます. 一般的な3pinのファンで,IntelのPWMには対応できません.12V駆動では明らかにうるさいと感じるレベルです.

 付属品は最低限はありますので,この製品一つで,リテールクーラーから即乗りかえすることが可能です.(なぜか付属レンチはマニュアルに記載されているレンチと大きく容姿が異なります) 付属ファンは9cm/2000rpm/25mmですので,12V駆動(DR100%)では少々うるさく感じると思います. もしZikaRayに静音性を求めたい場合は,お使いのシステムが,駆動電圧を下げることが可能なのか,もしくはファンをON/OFFモード(入力電圧PWM)で駆動できるかを確認した方が宜しいでしょう. 今まで4pinのIntel式PWMファンを利用していた場合,そのまま切り替えて,ファンのコントロールができるとは限りません.

ファンクリップ
図5. ファンクリップ

このファンクリップなんですが,今まで使用したクーラーの中で最もマージンがキツイものでした.

ベース部
図6. ベース部

DHTSという売り文句ですし,ベース部のチェックは入念に行なっているのでしょうか.

 このファンクリップが難点であると,筆者は感じました.もともとはファンは最初から装着されていますが,ファンを交換したいと考える方は,要注意です. とにかくマージンがなく,ファンのクリップを外す場合は,切れ込み部分とファンの通気孔の距離を最短にしてから,ペンチなどで思いっきり引っ張ることで解決しました. 何もここまで厳しくファンの固定をする必要があるのか?と思いました.

LGA775用のプレート
図7. LGA775用のプレート

ベース部のCPU接触面以外の場所にプレートを取り付けるという方式.最近よく見かけるようになりました.(本来は装着済み)

各部の寸法
図8. 各部の寸法

ノギスとうんこメジャーが泣いてしまうくらい適当な絵でごめんなさい. なお,筆者は書道習ってましたorz

 寸法について,一番大切な部分を計り忘れています.ベース部下部からヒートパイプの頭までの長さです.先日,アップローダへ掲載時に計測したときには,135mm程度でした. 従いまして,皆さんのケースにおいて,CPUのコアもしくはスプレッダの上に最低でも135mm以上クリアランスが必要です. 実は135mmという高さは9cmファン搭載型のサイドフローとしては高い部類に入るのではないかと思います. このサイズのクーラーを買う理由として,小型であり,ある程度の性能を期待している方が多いと思いますし, 仮に高性能であったとしても,この背の高さというものは,完全満足への妨害になることは明白です.

ヒートシンク
図9. ヒートシンク

数多くのサイドフローを見てきた限り,とりわけ特徴というものがありません.

上空写真
図10. 上空写真

上空から見ると分かりますが,ファンの取り付け方向は1方向に限定されます.

 ファンの取り付け用の切りかけが2種類用意されていますが,内側の部分はどのように利用するのか分かりません.

3. 対抗するCPUクーラー

 ここでは対抗するCPUクーラーを含めて,今回計測するCPUクーラー達の紹介を致します.

ライバル
図11. ライバル

左からUltra-120,Ultra-90,ZikaRayです.

 以下に今回計測したCPUクーラー達の性能を表1として表します.

 ファンなどの型番および性能は時期によって変動する可能性があるということを,ご承知ください.

表1. CPUクーラーのスペック比較表
CPUクーラー Ultra-120 Ultra-90 ZikaRay
エイリアス - - 直冷
製造元 Thermalright Thermalright ZAWARD
エアフロー サイドフロー
ファン オプション オプション X07138812L
ファンワイヤー数 - - 3
ファン5V駆動 - - 自力
対応ファンサイズ 12cm 9cm
対応ファン厚さ(まで) 38mm 25mm
ファン取付箇所数 2 2 1
ファン数 1
ファン場所
ファンカバー なし
フィン素材 アルミ(?)
フィンピッチ 1.65mm 1.95mm 1.85mm
ヒートパイプ(HP)数 4本 3本 3本
ヒートパイプ太さ φ6
ベース部接続 TIM TIM なし(DHTS)
ベース部 フィン なし
Socket478 オプション -
LGA775 Bolt-Thru-Kit アンカー(Ultra-90 775)
K8*1 ネジ留め 付属クリップ/リテンション
AM2 オプション 付属クリップ/リテンション
バックプレート X字非粘着
本体ロゴ Thermalright - -

*1 Socket754/939/940の3種類のソケットを示します.

4. 試験方法および使用ウェア

4-1. 試験方法

 温度の測定を行なう上では環境温度に影響を受ける可能性が高いため,同じ日付のうちに一気に計測しました. CPUクーラーを装着,PCを起動,各種計測ソフトウェアおよび負荷ソフトを起動,負荷開始(10分間),スクショ,ファンの回転数変更,スクショ,写真撮影, 次のCPUクーラーの準備,負荷停止,ログ回収,ファンの交換,,,PC停止,CPUクーラーを交換…という手順を繰り返していきます. 全ての試験が終わり次第,ログファイルをグラフ化し,ファンの吸気温度との差を温度上昇差(DW or ΔT or TRise)として定め,レビューに移行します.

4-2.使用ハードウェア,環境

 以下の表2に今回計測に使用したPCのスペックを示します.また,使用したハードウェアおよび環境を表3に示します.

表2.計測に用いたPCのスペック表
PC名 ”ぷりぷり 2007”
CPU Intel Core2 Duo E6600
CPUクロック 3.0GHz (333×9)に設定
CPU電圧 1.450Vに設定
EIST オフ
CPUクーラーファン XINRUILIAN RDH1225B(12cm) / GLOBE FAN X07138812L(9cm)
グリス Thermalright社製のCPUクーラーに付属する普通のグリス - センターウンコ方式
マザーボード GIGABYTE GA-965P-DS3 Rev.1.0
チップセットクーラー Thermalright HR-05 SLI
グラフィックスカード Galaxy GeForce 7600GS-Z 2nd 【途中で死亡】
玄人志向 RX1650PRO-E256HW
HDD Western Digital WD360GD
ファンコントローラ ZALMANさんの12V/5V分配キット
環境センサー ユニパルスさんのデータロガー
表3. 計測に用いたハードウェア,環境表
測定人 ぷりぷり (23)
測定日時 2007年3月21日 (水曜日) 14:00~22:00
試験場所 東京都新宿区 ボロマンション内
測定日天候 晴天
室温 18.0℃~20.0℃
デジタルスチルカメラ NIKON COOLPIX L1 三脚なし

4-3.使用ソフトウェア

 以下の表4に今回計測に使用したソフトウェア各種を示します.

表4.計測に用いたソフトウェア表
CPU負荷ソフト Tripcode Explorer v1.2.3 スレッド数2 標準割り当て
CPU温度計測&ロガー ぷりぷりてんぷ 1.0.1.1
CPU温度計測ソフト(DTS) Core Temp Beta 0.95
CPU温度計測ソフト(IT8718F) SpeedFan 4.32
CPU温度 グラフ化 ぷりぷりてんぷグラフジェネレータ(PHP)
CPU状態表示ソフト CPU-Z 1.38
マザーボード名表示ソフト CPU-Z 1.38
負荷率表示ソフト Windows標準のタスクマネージャ
画面キャプチャソフト WinShot 1.53 デスクトップPNG出力
画像リサイザー IrfanView 3.98
タイマー WinShot 1.53 定期実行キャプチャ機能

4-4. 試験方法に関する備考および補足

 試験に用いたCPUはCore2 Duoですが,これはあまり消費電力が高くないため(=発熱が少ない),細かい温度差を調べるために敢えてクロックと電圧を高めに設定しました. 各種クロックや電圧の設定は図12に示すBIOS画面を参考下さい.

 CPUを発熱させるための負荷ソフトは,フォーラムで統一された感のあるTripcode Explorer(TX)を用います. Core2 Duoなどには最適なものとされており,実際に負荷も相当なもので,温度差をはっきりさせるには最適なものと判断しました.
 一方でCPUの温度の測定に関しては,IntelやAMDの推奨するDigital Thermal Sensor(or DTS)を読み込んでログ化する「ぷりぷりてんぷ」を使用します. Intel環境の場合であれば,DTSの示す値はMSRから高精度・高頻度に取得することができ,Core Tempなどのソフトウェアでかんたんにログとして残す事ができます. また,従来のTcase部分よりも奥にあるTjunction部分の温度を示すものであり,示される温度も高く,差として表すには好都合であるといえます. これらの温度は絶対的な温度としてではなく,相対的な差(順序と差の大小)のみを判断基準とします(DTSの仕様).

 測定環境は,いわゆる”まないた”状態にて行ないました.マザーボードの箱の上にマザーボードを置き,その上で負荷を掛けて,温度履歴を見ていくという流れになります. 今回はファンの回転数も高く,CPU用のファン以外は特にエアフローは与えられません.(図13参照)

 ファンの吸気温度に関してはユニパルスさんのデータロガー+T型熱電対で1秒置きにログに残していきます.

 各種CPUクーラーにおいて,付属のファンが異なったり,付属していなかったりするため,全てのファンを統一しました. これは”CPUクーラーのヒートシンクの性能を比較する”という目的に沿ったものです. 今回はZikaRayが主役ですが,Ultra-120との純粋な比較を考えた上,苦し紛れですが,9/12cmの2つのファンをそれぞれ12V/5Vで駆動させて計測を行ないました. すなわち1つのCPUクーラーにつき,4つのデータが得られることになります.

BIOS画面
図12. BIOS画面

思い切って電圧は1.450Vに,CPUクロックは3.00GHzにしました.これで通常より大分発熱するはずです.

センサーの接続状況
図13. 吸気温度の測定

吸気のみ温度を測定します.前回のサイドフロー決定戦では,周辺温度は余り差が見られなかったのです.

データロガー
図14. データロガー

アナログのデータは16ch取得できますので,トップフローの際に役に立ちそうです.右端にパルス入力もあるので,ファンの回転数(rps)のモニタも可能?

ファン
図15. ファン

Ultra-120も居ますので,計測に用いるファンは2種類で,それぞれを12/5V駆動します.つまり4つの結果が出ることになります.

表5. 本計測における各CPUクーラーの固定方法一覧
CPUクーラー クリップの対象 概要
Ultra-120 LGA775 Bolt-Thru-Kit
Ultra-90 LGA775 Bolt-Thru-Kit
ZikaRay LGA775 付属のLGA775用

コンテンツ
  1. はじめに,選出CPUクーラー,測定条件など
  2. Ultra-120,Ultra-90 の計測
  3. ZikaRay の計測
  4. 結果,考察など

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