CPUクーラー研究室

ぷりぷり的!! トップフローCPUクーラー最強決定戦 2006 New Year's Eve

1.はじめに

 2006年12月31日,2006年最後の日に私は何をやっているんだ…と思いますが, タイトルの通り,トップフローCPUクーラーとして名高いもの達を集め,温度計測を行ないました. 以下,順に紹介し,温度計測から考察までレポート形式でお伝えしたいと思います.

 内容に関しては,ヒートシンクの性能のみを重視しているため,一般向けではありません. ファンを含めた一般的なレビューに関しては,データベースなどを参考にしてください.

2.選出したCPUクーラーの紹介

 選出したCPUクーラー達を以下の図1,図2に示します.

パッケージ
図1. パッケージ

パッケージです.上段左からANDY Cooler,Mars,中段左からXP-120,風神匠,BigTyphoon,下段左からSI-120,SI-128,U8-120-1600.

容姿
図2. 容姿

上段左からSI-128,XP-120,SI-120,中段左から風神匠,ANDY Cooler,下段左からMars,BigTyphoon,U8-120-1600.

 これらのCPUクーラーを最強決定戦に選出した理由としては,各種レビューなどでトップクラスの性能を叩き出すこと, 及びCPUクーラーの筐体が大きく,ヒートパイプ数も多く,主観的にとても冷えそうだと感じたからです.
 今回は比較用にU8-120-1600とMarsを加えました.前者は前回のトップフローCPUクーラー最強決定戦のチャンピオンであり,後者は2006年のCPUクーラーの中でも変わった形状として有名で,興味本位で加えることにしました. あくまで比較対象は12cmファンを搭載できるトップフローCPUクーラー6種類であることに留意下さい.

 ここでは選出したCPUクーラー達を以下の表1を用いて比較をしました.注意点として,ファンなどの型番および性能は時期によって変動する可能性があるということを,ご承知ください.

表1. CPUクーラーのスペック比較表
CPUクーラー XP-120 SI-120 ANDY Cooler BigTyphoon SI-128 風神匠 Mars U8-120-1600
エイリアス - - 庵出異 大台風 - - タマネギ -
製造元 Thermalright Thermalright scythe Thermal Take Thermalright Cooler Master Cooler Master Coolink
エアフロー トップフロー サイドフロー
ファン オプション オプション DFS1225 12L 未確認 オプション オプション 未確認 VS12- 1600
ファンワイヤー数 - - 3 3 - - 4 3
ファン電圧5V - - 自力 自力 - - ? 自力
ファンPWM - - No No - - Yes No
対応ファンサイズ 12cm 9cm 12cm
対応ファン厚さ(まで) 38mm 25mm 38mm ? 38mm
ファン取付箇所数 1 2 1 2
ファン数 1 2 1 2
ファン場所
フィン素材 アルミ
フィンピッチ 1.65mm 1.20mm/2.80mm 0.85mm 1.25mm - - 2.20mm
ヒートパイプ(HP)数 5本 5本 6本 6本 4本 6本 3本 4本
HP-ベース間 TIM TIM TIM TIM TIM TIM TIM TIM
ベース部 フィン 接続 なし 分離 なし 接続 なし
Socket478 リテンション VTMS ネジ留め オプション - - ネジ留め
LGA775 オプション VTMS ネジ留め アンカー ネジ留め
K8*1 ネジ留め/付属キット VTMS ネジ留め S字クリップ ネジ留め
AM2 オプション オプション VTMS - *2 S字クリップ ネジ留め ネジ留め -
バックプレート 非粘着 なし 粘着*3 なし 非粘着
金属板押し当て - - - 「H」の字 「X」の字 - - 小型2箇所
本体ロゴ - - - - - - "Cooler Master" -

*1 Socket754/939/940の3種類のソケットを示します.
*2 Rev.BからはAM2対応となりました.
*3 Rev.Bからはバックプレートが省略されています.

3.試験方法および使用ウェア

3-1.試験方法

 温度の測定を行なう上では環境温度に影響を受ける可能性が高いため,同じ日付のうちに一気に計測しました. CPUクーラーを装着,PCを起動,各種計測ソフトウェアおよび負荷ソフトを起動,負荷開始(10分間),スクショ,ファンの回転数変更,スクショ,写真撮影, 次のCPUクーラーの準備,負荷停止,ログ回収,PC停止,CPUクーラーを交換…という手順を繰り返していきます. この間,負荷を終了する間際に室温をファンコントローラ付属の温度センサーにて計測し,写真に収めます. 全ての試験が終わり次第,ログファイルをグラフ化し,室温との差を温度上昇差(DW or ΔT or TRise)として定め,レビューに移行します.

センサー設置箇所
図3. センサー設置箇所

完全にボケています.貼り付けた箇所は,コンデンサ,コイル,チップセットクーラーの3箇所です.

測定するPCケースの状態
図6. 測定するPCケースの状態

サイドパネルは常時開放で横倒し状態です.すなわち,まないた環境に限りなく近い状態であると言えます.

3-2.使用ハードウェア,環境

 以下の表2に今回計測に使用したPCのスペックを示します.また,使用したハードウェアおよび環境を表3に示します.

表2.計測に用いたPCのスペック表
PC名 ”ぷりぷり 2006” w
CPU Intel Core2 Duo E6600
CPUクロック 2.4GHz (266×9)に設定
CPU電圧 1.400Vに設定
EIST オフ(Windows側)
CPUクーラーファン Coolink X12-1600
グリス Thermalright社製のCPUクーラーに付属する普通のグリス - センターウンコ方式
マザーボード GIGABYTE GA-965P-DS3
チップセットクーラー Thermalright HR-05 SLI
グラフィックスカード Galaxy GeForce 7600GS-Z 2nd
HDD Western Digital WD360GD
ファンコントローラ Coolermaster AeroGateII
表3.計測に用いたハードウェア,環境表
測定人 ぷりぷり (23)
測定日時 2006年12月31日 (日曜日) 12:00~17:30
試験場所 東京都新宿区 ボロマンション内
測定日天候 晴天
室温 19.0℃~22.0℃
デジタルスチルカメラ NIKON COOLPIX L1 三脚なし

3-3.使用ソフトウェア

 以下の表4に今回計測に使用したソフトウェア各種を示します.

表4.計測に用いたソフトウェア表
CPU負荷ソフト Tripcode Explorer v1.2.3 スレッド数2 標準割り当て
CPU温度計測ソフト(DTS) Core Temp Beta 0.93
CPU温度計測ソフト(DTS) サブ ぷりぷりてんぷ
CPU温度計測ソフト SpeedFan 4.3
DTS温度 グラフ化 Core Temp Graph Generator(PHP)で,統一したグラフを作成
CPU状態表示ソフト CPU-Z 1.36
マザーボード名表示ソフト CPU-Z 1.36
負荷率表示ソフト Windows標準のタスクマネージャ
画面キャプチャソフト WinShot 1.53 デスクトップPNG出力
画像リサイザー IrfanView 3.98
タイマー Tripcode Explorer v1.2.3 内蔵

3-4.試験方法に関する備考および補足

 試験に用いたCPUはCore2 Duoですが,これはあまり消費電力が高くないため(=発熱が少ない),細かい温度差を調べるために敢えてクロックと電圧を高めに設定しました. 各種クロックや電圧の設定は図5に示すBIOS画面を参考下さい.
 PCケースを横倒しにする理由は,”作業効率の向上”,及び”ヒートパイプの向きの不安を払拭する”の2点で, PCケース内で測定を行なう理由は,背面ファンを利用したかったからです. トップフローCPUクーラーの場合,マザーボードに平行なエアフローがある程度ないと,廃熱が上手く行かない傾向にあります.

 負荷ソフトは,フォーラムで統一された感のあるTripcode Explorer(TX)を用います. Core2 Duoなどには最適なものとされており,実際に負荷も相当なもので,温度差をはっきりさせるには最適なものと判断しました.
 一方でCPUの温度の測定に関しては,IntelやAMDの推奨するDigital Thermal Sensor(or DTS)を使用します. Intel環境の場合であれば,DTSの示す値はMSRから高精度・高頻度に取得することができ,Core Tempなどのソフトウェアでかんたんにログとして残す事ができます. また,従来の外部センサーに接続されていたThermal Diodeセンサーとは違い,よりCPU内部に設置されており,示される温度も高く,差として表すには好都合であるといえます.

 室温に関してはCoolermasterさんの”AeroGateII”というファンコンのセンサーを用いて計測します(図6参照).

 ファンコンの示すファンの回転数は,その起動時の上下関係のみ信用できるものとします.稀に本来の回転数とはかけ離れた値を示す事があります.

BIOS画面
図5. BIOS画面

電圧は1.400Vに,CPUクロックは2.4GHzにしました.これで通常より発熱するはずです.

室温計測箇所
図6. 室温計測箇所

室温はケースの上にサーミスタを固定して,計測しました.計測はケースの中で行ないます.

 各種CPUクーラーにおいて,付属のファンが異なったり,付属していなかったりするため,全てのファンを統一しました. これは”CPUクーラーのヒートシンクの性能を比較する”という目的に沿ったものです.使用したファンは図7に示す”X12-1600”です.(ただし,Marsに関しては付属の9cmファンを用いています)

”使用したファン”に関する画像
図7. 使用したファン

各計測に使用したCPUクーラーはこのファンに統一しました.Coolinkさんの”X12-1600”です.選んだ理由は所持しているファンの中で最高速だからです.

表5. ファンコンのIDとセンサーとの相関表
ID Description (LeftPart) Description (RightPart)
”CPU” コイルの温度 CPUクーラーのファンの回転数(1600rpm)
”VGA” コンデンサの温度 排気ファン(白い鎌風の風)の回転数(1000rpm)
”HDD” チップセットクーラーの温度 なし
”CASE” 室温 なし

コンテンツ
  1. はじめに,選出CPUクーラー,測定条件など
  2. XP120, SI-120, ANDY Cooler のかんたんな紹介
  3. BigTyphoon, U8-120-1600, Mars のかんたんな紹介
  4. SI-128, 風神匠 のかんたんな紹介
  5. 結果,考察など

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