CPUクーラー研究室

ぷりぷり的!! トップフローCPUクーラー最強決定戦 2007 Spring

1.はじめに

 2007年3月10日,今年も新しい期待のCPUクーラーの情報がボチボチと出てきておりますが, 現状のCPUクーラーの性能を個人的にまとめ,それらを受け入れる準備を行なうためにも,温度計測を行ないました. 対象となるCPUクーラーは,現在の自作界に君臨する高性能トップフローCPUクーラーたちです. 以下,順に紹介し,温度計測から考察までレポート形式でお伝えしたいと思います.

 内容に関しては,ヒートシンクの性能のみを重視しているため,一般向けではありません. ファンを含めた一般的なレビューに関しては,データベースなどを参考にしてください. 付属ファンは一切使用いたしません.

2.選出したCPUクーラーの紹介

 選出したCPUクーラー達を以下の図1,図2に示します.

パッケージ
図1. パッケージ

パッケージです.はっきりと名称が記されておりますので,詳細は省きます.

容姿
図2. 容姿

ヒートシンクを見ただけで,全てのお名前を言えるようにしておいてください.

 これらのCPUクーラーを最強決定戦に選出した理由としては,各種レビューなどでトップクラスの性能を叩き出すこと, 及びCPUクーラーの筐体が大きく,ヒートパイプ数も多く,主観的にとても冷えそうだと感じたからです.
 今回は一切のおまけを加えず,ただ12cm以上のファンを搭載できるCPUクーラー達をガチンコ勝負させることが目標となっております.

 ここでは選出したCPUクーラー達を以下の表1を用いて比較をしました.注意点として,ファンなどの型番および性能は時期によって変動する可能性があるということを,ご承知ください.

表1. CPUクーラーのスペック比較表
CPUクーラー XP-120 SI-120 ANDY Cooler BigTyphoon SI-128 風神匠 RubyOrb SQUARE Dominator
エイリアス - - 庵出異 大台風 - - - - ドミ姉
製造元 Thermalright Thermalright scythe ThermalTake Thermalright CoolerMaster ThermalTake ZAWARD AeroCool
エアフロー トップフロー
ファン オプション オプション DFS122512L A1225L12S オプション オプション T121225SM S1202512M-3M 不明(14cm)
ファンワイヤー数 - - 3 3 - - 3 3 3
ファン電圧5V - - 自力 自力 - - ? 自力 自力
ファンPWM - - No No - - No No No
対応ファンサイズ 12cm 14cm
対応ファン厚さ(まで) 38mm 25mm 38mm 38mm 38mm(リブなし脇入) 25mm(?)
ファン取付箇所数 1 2 1 2 1
ファン数 1 2 1 2 1
ファン場所
ファンカバー なし あり なし あり なし あり
フィン素材 アルミ(?)
フィンピッチ 1.65mm 1.20mm/
2.80mm
0.85mm 1.25mm 1.50mm - 1.55mm 1.85mm
ヒートパイプ(HP)数 5本 5本 6本 6本 4本 6本 - 4本 3本
ヒートパイプ太さ φ6 φ8 φ6 - φ8
HP-ベース間 TIM TIM TIM TIM TIM TIM - TIM TIM
ベース部 フィン 接続 なし 分離 なし 接続 接続 分離
Socket478 リテンション VTMS ネジ留め オプション - - ネジ留め -
LGA775 オプション VTMS ネジ留め アンカー ネジ留め
K8*1 ネジ留め/付属キット VTMS ネジ留め S字クリップ ネジ留め
AM2 オプション オプション VTMS - *2 S字クリップ ネジ留め リテンション - -
バックプレート 非粘着 なし 粘着*3 なし 非粘着 なし 非粘着
金属板押し当て - - - 「H」の字 「X」の字 - - - -
本体ロゴ - - "scythe" - - - - "ZAWARD" "AeroCool"

*1 Socket754/939/940の3種類のソケットを示します.
*2 Rev.BからはAM2対応となりました.
*3 Rev.Bからはバックプレートが省略されています.

3.試験方法および使用ウェア

3-1.試験方法

 温度の測定を行なう上では環境温度に影響を受ける可能性が高いため,同じ日付のうちに一気に計測しました. CPUクーラーを装着,PCを起動,各種計測ソフトウェアおよび負荷ソフトを起動,負荷開始(10分間),スクショ,ファンの回転数変更,スクショ,写真撮影, 次のCPUクーラーの準備,負荷停止,ログ回収,PC停止,CPUクーラーを交換…という手順を繰り返していきます. 全ての試験が終わり次第,ログファイルをグラフ化し,室温との差を温度上昇差(DW or ΔT or TRise)として定め,レビューに移行します.

3-2.使用ハードウェア,環境

 以下の表2に今回計測に使用したPCのスペックを示します.また,使用したハードウェアおよび環境を表3に示します.

表2.計測に用いたPCのスペック表
PC名 ”ぷりぷり 2007”
CPU Intel Core2 Duo E6600
CPUクロック 3.0GHz (333×9)に設定
CPU電圧 1.450Vに設定
EIST オフ
CPUクーラーファン XINRUILIAN RDH1225B
グリス Thermalright社製のCPUクーラーに付属する普通のグリス - センターウンコ方式
マザーボード GIGABYTE GA-965P-DS3 Rev.1.0
チップセットクーラー Thermalright HR-05 SLI
グラフィックスカード Galaxy GeForce 7600GS-Z 2nd
HDD Western Digital WD360GD
ファンコントローラ SUNBEAMTECH TP-101
表3.計測に用いたハードウェア,環境表
測定人 ぷりぷり (23)
測定日時 2007年3月10日 (土曜日) 10:30~23:00
試験場所 東京都新宿区 ボロマンション内
測定日天候 晴天
室温 16.0℃~20.0℃
デジタルスチルカメラ NIKON COOLPIX L1 三脚なし

3-3.使用ソフトウェア

 以下の表4に今回計測に使用したソフトウェア各種を示します.

表4.計測に用いたソフトウェア表
CPU負荷ソフト Tripcode Explorer v1.2.3 スレッド数2 標準割り当て
CPU温度計測&ロガー ぷりぷりてんぷ 1.0.1.1
CPU温度計測ソフト(DTS) Core Temp Beta 0.93
CPU温度計測ソフト(IT8718F) SpeedFan 4.32
CPU温度 グラフ化 ぷりぷりてんぷグラフジェネレータ(PHP)
CPU状態表示ソフト CPU-Z 1.38
マザーボード名表示ソフト CPU-Z 1.38
メモリー状態表示ソフト CPU-Z 1.38
負荷率表示ソフト Windows標準のタスクマネージャ
画面キャプチャソフト WinShot 1.53 デスクトップPNG出力
画像リサイザー IrfanView 3.98
タイマー WinShot 1.53 定期実行キャプチャ機能

3-4.試験方法に関する備考および補足

 試験に用いたCPUはCore2 Duoですが,これはあまり消費電力が高くないため(=発熱が少ない),細かい温度差を調べるために敢えてクロックと電圧を高めに設定しました. 各種クロックや電圧の設定は図5に示すBIOS画面を参考下さい.

 CPUを発熱させるための負荷ソフトは,フォーラムで統一された感のあるTripcode Explorer(TX)を用います. Core2 Duoなどには最適なものとされており,実際に負荷も相当なもので,温度差をはっきりさせるには最適なものと判断しました.
 一方でCPUの温度の測定に関しては,IntelやAMDの推奨するDigital Thermal Sensor(or DTS)を使用します. Intel環境の場合であれば,DTSの示す値はMSRから高精度・高頻度に取得することができ,Core Tempなどのソフトウェアでかんたんにログとして残す事ができます. また,従来の外部センサーに接続されていたThermal Diodeセンサーとは違い,よりCPU内部に設置されており,示される温度も高く,差として表すには好都合であるといえます. これらの温度は絶対的な温度としてではなく,相対的な差(順序)のみを判断基準とします.

 測定環境は,いわゆる”まないた”状態にて行ないました.マザーボードの箱の上にマザーボードを置き,その上で負荷を掛けて,温度履歴を見ていくという流れになります. 今回はファンの回転数も高く,マザーボードに平行なエアフローは一切与えていません.

 各種の環境温度に関してはSUNBEAMTECHさんの”TP-101”という8chファンコンのセンサーを用いて計測します(図6参照).

センサー設置箇所
図3. センサー設置箇所

貼り付けた箇所やセンサーの接続先などに関しては,右の図と合わせてご覧下さい.

センサーの接続状況
図4. センサーの接続状況

全てサーミスタセンサーです.TP-101というファンコンの温度表示機能を利用します.

BIOS画面
図5. BIOS画面

思い切って電圧は1.450Vに,CPUクロックは3.00GHzにしました.これで通常より大分発熱するはずです.

センサー用ファンコン
図6. センサー用ファンコン

8chの温度センサーと考えれば破格です.可変抵抗で調整できますが、今回は相対的な温度差のみ注目します.

 各種CPUクーラーにおいて,付属のファンが異なったり,付属していなかったりするため,全てのファンを統一しました. これは”CPUクーラーのヒートシンクの性能を比較する”という目的に沿ったものです.これはRubyOrbも例外ではなく,付属のファンは外した上で計測を行ないます. 使用したファンは図7に示す”RDH1225B”です.各種12V/5V環境で計測を行なっていくことになります.なお,5Vの場合はおよそ1000rpm程度であると考えられます. また,風神匠とSQUAREに関しては,それぞれデュアルファンに関しても測定を行ないます.

使用したファン
図7. 使用したファン

各計測に使用したファンはXINRUILIANさんの”RDH1225B”です.かなりの風量ですし,通常使用では耐え難いほどの轟音です.

表5. ファンコンのIDとセンサーとの相関表
Channel Port Description
"INPUT" T1 吸気温度(不定)
"OUTPUT" T2 排気温度(不定)
"MemoryModule ch.0" T3 Slot0に差し込んだメモリのヒートシンク側面の温度
"MemoryModule ch.2" T4 Slot2に差し込んだメモリのヒートシンク側面の温度
"ChipsetCooler" T5 チップセットクーラー(HR-05SLI)のベース部の上
"MOSFET" T6 IO側のMOSFETのパッケージの上
"Capacitor PSC" T7 12V電源側の日ケミのPSCコンデンサの頭
"Capacitor OS-CON" T8 IO側の三洋のOS-CONの頭
表6. 本計測における各CPUクーラーの固定方法一覧
CPUクーラー クリップの対象 ヒートパイプの向き*1 概要
SI-128 LGA775 SI-128用のXプレートにバネつきのネジを用いたネジ留め
SI-120 ソケット478 scytheのユニバーサルキットと併用
XP-120 ソケット478 scytheのユニバーサルキットと併用
ANDY Cooler ソケット478 scytheのユニバーサルキットと併用
風神匠 LGA775 ネジとナットによる一般的な固定方法
BigTyphoon LGA775 上下 ”LGA775 Standard”方式に準拠
RubyOrb LGA775 - ネジとナット,バネによる一般的な固定方法
Dominator LGA775 ネジとナット,バネによる一般的な固定方法
SQUARE LGA775 ネジとナットによる一般的な固定方法

 *1 ヒートパイプが突出する方向を示します.不明慮な場合は各計測の様子をご覧にいただけば宜しいかと思います.


コンテンツ
  1. はじめに,選出CPUクーラー,測定条件など
  2. SI-128, SI-120, XP-120 のかんたんな紹介
  3. ANDY Cooler, 風神匠,BigTyphoon のかんたんな紹介
  4. RubyOrb, Dominator,SQUAREのかんたんな紹介
  5. 結果,考察など
  6. おまけ

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